アラン・リックマン

『アイ・イン・ザ・スカイ』観ました!感想・ネタバレあり

投稿日:2017年9月21日 更新日:

映画『アイ・イン・ザ・スカイ』を観ました。

【アイ・イン・ザ・スカイ 世界一安全な戦場】
原題:Eye in the Sky
製作:2015年  製作国:イギリス

あらすじ
イギリス軍諜報機関のキャサリン・パウエル大佐は、
ケニア・ナイロビ上空の無人偵察機ドローンからの情報を基に、
戦地からは遠く離れたロンドンで、アメリカとの合同の、テロリストの捕獲作戦を指揮している。
テロリスト捕獲作戦は、大規模な自爆テロの情報をキャッチしたことにより一転、攻撃へと。
しかし、標的となる区域内に少女が現れたことにより、
少女を見殺しにしてミサイルを撃つのかという、 究極の葛藤へ…。

ネバダのアメリカ軍基地で操作するドローンを、
ナイロビ上空に飛ばし、
ロンドンの会議室で作戦を展開する。
現代の戦争の闇を描く、軍事サスペンス。

オフィシャルトレイラ―がこちら。

アリス・イン・ワンダーランド~時間の旅~と共に、アラン・リックマンの遺作となってしまった本作。
イギリスでは、アランの死去後すぐの2016年春に公開され、
日本では2016年の年末から順次公開となりました。

アランの姿をスクリーンで観れるのは、これが最後になるかも…!
という思いで、何回か映画館に足を運んで鑑賞した作品です。

私の住む地域での上映が、長らく未定だったこともあり、
東京まで観に行った思い出もあったり。

映画の内容は…きっといろんなところで語られているでしょう。
想像すらしていなかった、「現代の戦争」の姿を目の当たりにし、
驚き、恐怖を覚えました。

私たちが、普段指先で流し読みしてしまう、遠い国での戦争は、
こんなことが起こっていて、これが日常になっていて…。
現実で起こり得ること、現実で起きていることなんだ、と思うと、
やはり怖い。
そこに私たちが関わっていくことになるのかも、と思うと、
もっともっと恐怖感を覚えます。

そして、物語の結末は、きっと観る人の立場によって、
まったく違う捉え方ができると思います。
決断への正しい答えって、きっと誰も導き出せないんじゃないかな。

人間のモラルや心理にも疑問を投げかけてくれる作品です。

……

さて、この映画の中でアランの役どころは、国防省のフランク・ベンソン中将。
政府のお偉いさんたちが集まり、作戦の最終決定を下す「コブラ」(国家緊急事態対策委員会というらしい)を取りまとめるベンソン中将を演じています。

このコブラに集まる前に、ベンソン中将の私生活を垣間見ることができるのですが。

「もしもし?父さんだ。アナベル人形を買いに来たんだが、たくさん種類があってどれを買ったらいいかわからない」

なんて娘(おそらく。孫かな…?)に電話をするシーンがあって。
女の子らしいファンシーなお店に、アランが佇んで、途方にくれつつ、お人形を手に取ってみたり。

…きゅん♡

OMG!
アランかわいすぎるよ。
「ASAP.至急コールバックをくれ」なんて、偉そうに留守電に残してるくせに、
ファンシーラブリーなお店×途方にくれたアラン。
無敵な組み合わせっ!

結局、アランは間違ったお人形を買ってしまったらしく、
きっと娘ちゃんにダダを捏ねられて、買い直すはめに。
なんだかんだ甘々なアランに、観ている私のほっぺまでゆるんでしまうのです。

こんな日常生活の一部に、戦争が入り込んでいる、っていうことを伝えたいシーンなのでしょうが、
なんてご馳走様なシーンなんだ。

ストーリーは、
パウエル大佐(ヘレン・ミレン)が指揮する、ロンドンの地下の常設統合司令部、
ベンソン中将(アラン)がいる会議室、ロンドンのコブラ・オフィス、
スティーブ中尉(アーロン・ポール)がドローン操作やミサイル発射を行うアメリカ・ネバダ州の空軍基地、
パールハーバーの画像解析班、
ナイロビ軍の待機する施設、
工作員が奔走する現地、
と、それぞれ別々の場所で展開していきます。

責任のなすりつけ合いの会話劇が、テンポよく繰り出され、
観ているこちらまで、イライラしたり、安堵したり、と感情をぐるぐると振り回されていきます。
とにかく、物語の進行と一緒になって振り回されるので、良い意味で疲れる映画です(褒めてます)。

上に確認します。
その権限はこちらにはありません。
的な、不毛ななすりつけあいで、物事が全然進まない。
このあたりが、「シンゴジラ」に共通すると言われている所以でしょうか。

アランは、自分で責任を取ろうとしない政治家たちに囲まれ、
終始イライラするという役どころ。

上司に判断を仰ぎまくり、自分で決断を下さず、オロオロ右往左往する政治家たちの中で、
感情の起伏を出さず、言葉少なに、でも明確なビジョンを持って、作戦を進めようとするベンソン中将。
なにか、スネイプ教授に通ずるものを感じました。

最後に、政務次官に向かってアランが言うことばがあるのですが。
そのことば自体、
そして、目を細めて、徹底的に冷静に、でも熱を感じさせるようなアランの表現に、
私は毎回涙してしまいます。

こんなに素敵で、こんなにセクシーなこの人が、
もうこの世にはいないのか、
という気持ちが、どうしてもこみあげてしまうシーン。

泣いちゃうけど、でも、この時のアラン、めちゃくちゃセクシーです。
そこにセクシー要素は必要ないのに、アランだから出ちゃう色気。的な。笑

アランは、アナベル人形を片手に、
スクリーンを去っていきます。
これが、アランの最後の姿。
その後ろ姿に、まためちゃくちゃ涙が出て。

そして、エンドロールの文字に打ちのめされて、
大号泣。

これがアイ・イン・ザ・スカイを観る時の、私のルーティーンとなってしまいました。

-アラン・リックマン

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