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『ロケットマン』観ました 感想・ネタバレあり

投稿日:2019年8月28日 更新日:

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映画『ロケットマン』を観ました。

原題:Rocket Man
制作国:イギリス・アメリカ 制作年:2019年

あらすじ

5度のグラミー賞受賞歴を持つ、世界的ミュージシャンのエルトン・ジョンの自伝的映画。
並外れた音楽の才能で、瞬く間にスターへと駆け上がった一方で、知られざる苦悩や困難に満ちたエルトンの半生を、「Your Song」や「Rocket Man」などの数々のヒット曲にのせたミュージカルシーンにのせて描いている。

降板した監督に代わり、ボヘミアン・ラプソディを完成させたデクスター・フレッチャーが監督を務め、キングスマンシリーズのタロン・エジャトンがエルトンを演じた。吹き替えなしの、圧倒的な歌唱シーンも見事!

なぁこの感想&ネタバレ

以下、ネタバレを含みます。

エルトン・ジョンのことをよく知らなくても夢中になれる作品

エルトン・ジョンのファンというわけではない。
彼について知っていることといえば、
奇妙なメガネをかけていること。
同性愛者であることを公表していること。
この2つだけ。もちろん、有名な曲はいくつか聴いたことがあるけど、その程度。
そんな私だけれど、この映画はとっても楽しかった!

まず、ミュージカルシーン!
ゴージャスでキラキラで、ファンタジックなミュージカルシーンの数々が、
エルトンの奇特な人生を語るとっても素晴らしい役割を果たしています。

有り得ない演出で、観客を取り込んで、一気に、楽しい!!!って気分にさせてくれる。

どのシーンも豪華で本当に楽しかったけど、
私の一番好きなミュージカルシーンは、クロコダイル・ロックのシーン。
エルトンが世界で成功する原点ともなる、L.Aの伝説的ライブハウス、トルバドールでのライブシーン。
惹きこまれるとはこのことだ!
もう一回観たいなー!
公式からそのシーンの一部も公開されていますよ。

そして、こんなことまで明け透けに描写しちゃっていいのかな、
と心配になるほどのオープンな、エルトン自身の内面の描写。

L.Aでのライブが成功した夜、
スターへの階段に足を掛けたエルトンが捧げた、初体験が描かれているのですが。
エルトンは、この時まで自身がヴァージンであったと告白し、
誰かに愛されたくて、手で触れる確かな人間関係を求めていた。そしてついにあの瞬間にそれを手にした。
ひとりの同性愛者として、男性同士のセックスをぼかしたり、曖昧にしたくなかった、と語っています。
とっても愛情に満ちたシーンで、幸せそうで、溢れる感情にきゅん、としました。
同性愛とか異性愛とか関係なく、恋のはじまりってこんな感じだよね、ってきっとみんなきゅんとするはず。
なんでも手に入れられるエルトンの望みが、
彼と夕食を共にすること、だなんてかわいすぎかよ。
でもそうなんだよ、恋するとそうなんだよな、ってきっとうなづいちゃうはず。

そんな幸せな内面だけではなく、堕ちるところまで堕ちるエルトンの苦しみも、
え、こんなに?!と思うほど描写されています。
ドラッグやアルコールやセックスに溺れまくる様子は、心が痛いし、なんならドン引きする。
倫理的にも人間的にもアウトな、その中毒や依存っぷりが、全力で描かれています。
スーパースターであり、世界中を楽しませ、名声を手に入れたエルトンが、
そんな闇の部分まで正直に描くべきだ、と言っているのは、説得力がありまくる。
でも、ドラッグやアルコールに溺れるなんて、セレブの世界すぎて理解できない、感情移入できない、なんて思わないで。
エルトンの抱える孤独の根底は、子供時代に両親から愛されなかった記憶なのです。
愛されたいのに、愛されない。その悩みって、きっと誰もが持ちうるもの。
そんな普遍的な苦しみが、ドラッグやアルコールに溺れる狂乱的な人生の底に横たわっていて、だからこそ誰もが切なさを感じるはず。

主演タロン・エジャトンの圧倒的な歌唱力、パフォーマンス力も、本作の魅力中の魅力。
タロンはSingの中でも、エルトン・ジョンの「I'm Still Standing」の見事な歌いっぷりを聴かせてくれましたよね。
それに輪をかけて、今回のタロンはとてつもない!
エルトン乗り移ってると思う…!

もちろん、歌唱シーンだけではなく、演技力のすばらしさよ。
艶っぽさと純真無垢な少年らしさ、切なさ、カリスマ性。もう入り混じりすぎて、惹きこまれっぱなしでした。

そして、脇を固めるキャスト陣も素敵でした。
50年以上、エルトンと共作を続ける作詞家であり親友のバーニーにジェイミー・ベル。
2人が出会い、音楽の話に盛り上がりに盛り上がり、街を歩きつくしながら語り合い、心を許しあうシーンは、とってもほっこりする。
恋愛としては結ばれることのなかった2人だけれど、
(そしてそれが、愛されたいのに愛されない、というエルトンの孤独の一端にもなっているのだけれど)
成功を手に入れ、スターダムを駆け上がるエルトンの一番近くで見守るバーニーのまなざしのあたたかさ。エルトンへの愛情を確かに持ちながら、そばに佇むバーニーの存在感。
お互いがいることが、人生の大切な意義って関係性、素敵だな。

エルトンの初体験の相手であり、恋人かつマネージャーのジョンにリチャード・マッデン。ゲーム・オブ・スローンズのロブ・スターク!
冷酷でプレイボーイな嫌な奴として描かれていますが、こんなかっこいいなら許しちゃうよ。
エルトンの母役に、ブライス・ダラス・ハワード。かわいい。
あんたの母親であることがどれだけがっかりすることか、
同性愛者なんて知ってたわよ、誰からも愛されない人生を生きることね、
なんてキツイ言葉も平気で口にしちゃう親。
それぞれが、背負ったバックグランウドまでもを感じさせるような演技力を見せてくれるので、キャラクターが平面的じゃなくて魅力あふれるものになっています。
あ、ハリー・ポッターシリーズのマダム・ポンフリーも登場しますよ。

劇中を彩るエルトンの楽曲の数々。
実際は、その出来事を歌ったものではないものも多々あるとは思いますが、
歌詞が描かれる人生とリンクしまくっていて、沁みる…!
あと、名曲「Your Song」が生まれた、何気ない朝のひとときも鳥肌たつ。
是非、サントラも聴いてみてほしい。

奇抜な衣装やメイクも、
けっこう忠実に再現されています。
エンディングに答え合わせ的に、実際の映像と併せて紹介されるですが、
その完成度も素晴らしい!
労働者もホームレスも口ずさめるような曲を作れ、
派手な衣装を買って、観客の心を掴め、
ってレコード会社の社長に指示されることから、あの絢爛豪華なステージ衣装の歴史が始まったんだなぁって思うと、おもしろい。
ちなみに、エルトン・ジョンを名前を変える前のレッジー・ドワイトだった少年時代を演じた子役の子。エルトンの少年時代にそっくりでした!

むっちゃ長くなっちゃったけど、
この映画は実話に基づいた作品です。
ではなくて、based on true fantasy 実在のファンタジーに基づいています。という「ロケットマン」。
是非楽しんでもらいたい作品です。

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