海外映画

『スイス・アーミーマン』観ました 感想・ネタバレあり

投稿日:2017年12月4日 更新日:

映画『スイス・アーミーマン』を観ました。

原題:Swiss Army Man
製作年:2016年 製作国:アメリカ

あらすじ
遭難して無人島に漂着した青年、ハンク。絶望したハンクは、生きる気力を失い、自殺しようとする。ちょうどその瞬間、海岸に流れ着いた男性の遺体が目に飛び込んでくる。遺体からはガスが発生しており、その浮力を利用して、ハンクは無人島からの脱出を試みる…。
世界が絶賛した奇想天外な、青春・サバイバル・アドベンチャー!

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公式トレーラーはこちら↓

「ハリー・ポッター」シリーズのダニエル・ラドクリフ、まさかの死体役で主演!
前代未聞の、死体と青年の友情の物語!
予告編を観たときに、なにこのシチュエーション!おもしろすぎる!
とテンションが上がり、公開をにやにやしながら待っていた作品。
そのわりには、レビューがだいぶ遅くなりましたが…。

先にお断りしておきますが、
この映画は、下ネタ満載。オナラ、うんち、おしっこ…その他言葉にするのは忍びないほどの下ネタのオンパレードです。笑
下ネタが耐えられない紳士淑女の方々は閲覧注意です。

死体メニー役のダニエルがスクリーンに登場して以降は、ずっと「小学生かよ!」と突っ込んでしまいたくなる、そういったワード、映像が続きます。それはもう徹底的に。
とんでもなく汚いものを、延々と観客の目前にさらしながら、映画は続くのですが、なぜだか、それが汚らしくみえない。
映像の作り方の美しさ、ダニエルの演技力、ポール・ダノのかわいさのなせる所以でしょうか。

死んでしまいたくなるほど、絶望していたハンク。
死体とはいえ、自分以外の人間に久しぶりに会い、生きる気力を取り戻し、故郷へ帰るため、サバイバルなアドベンチャーへと繰り出します。
徐々に、スイスアーミーナイフのような、様々な便利機能を持ち、会話もできることが明らかになる死体、メニー。
歯でヒゲを剃れたり、
雨水を体内に蓄えて、シャワーや水筒として使えたり、
口からガスを逆噴射して銃になったり。
いやいや、万能すぎでしょ。おもしろすぎるぞ、この展開!
と、一気にこの世界観へ惹きこまれてしまうわけです。

生きていた時の記憶がないメニーに、
この世界の仕組み、感情、身体の不思議(笑)などを教えるハンク。
ふたりは心を通わせ、友情が芽生えていく。
そして二人は、故郷に戻ろう、と力を合わせて冒険を進めていきます。

一緒にジェラシックパークのテーマソングを歌ったり、
グラビアの水着の女性に興奮したり、
青年と死体の、くだらないけどあったかい友情の物語を、丁寧に描きながら、ストーリーは進んでいきます。

恋、とか、たいせつな人を想う気持ち、とか、
そういった感情を教えるために、ハンクが女装して、実践するシーン。
ハンク役のポール・ダノの女装も、テディベアみたいでかわいらしいのですが、
その瞬間を取り巻くすべてが美しい。
映像も、光も、音楽も。
あぁ、こういう気持ちが、恋なんだなぁ、と思い出すことができて、好きです。笑

メニーに、生きることを教えるために、ハンクはなんでも実践して、体感させるのですが、
そのために木の枝や落ちていたゴミで、実世界を再現しちゃうのです。
そのクリエイティブな才能あふれる、おままごと的な世界もすてき。

そして、ここからは結末に対する私なりの感想です。
この映画の一番大事な部分についてネタバレしています。

……………

メニーは、便利で多機能な死体なんかじゃない。ただの死体なんだと、私は感じました。

物語が進むにつれ、ハンクの人間性が徐々に明らかになってくるのですが、
そこで感じるのは、
あれ?ハンクってもしかして友達いない…?
あんまり社交性ない…?
という、上手に生きていくのが苦手そう、とか、孤独な男なのかも、という印象。

この映画で描かれているのは、孤独な男、ハンクの苦しみなんじゃないかなぁ。

私は、メニーとの会話や冒険は、ハンクの一人芝居だと思っています。

映画の中で描かれている世界は、今私たちが暮らしている世界と同じような常識が通じる世界。
つまり、死体が喋り出す、なんていうのはあり得ない世界。
実はメニーは生きてました♪
なんて解釈ができないように、ダニエルは徹底的に死人メイクを施されているし、動きも死体そのもの。
そこまでしておきながら、メニーは喋る。やはり、これはハンクの一人芝居であり、妄想であるのです。

映画の中で、美しく、そして楽しげに描かれていた、メニーとハンクの遊びや会話、冒険。
あれは全部、ハンクが自身のさまざまな願望を詰め込んで楽しんだ、ひとり遊び。

ほんとうの人間を相手にすると、どうしてもうまく楽しめないけれど、
ひとり遊びなら、いつまででも楽しめる。
引きこもり、とか、社会から逃げてる、とか批判されることが多い実世界なんか忘れて、
メニーに願望を投影させて、妄想の中でおこなうひとり遊びは、楽しいに決まってる。
わかるよ、ハンク。私も、そうだもん。

冒険が終わり、現実世界が目の前に立ちはだかった時のハンクの姿は、胸が痛くなります。
ふたりがさんざん探検し、サバイバルしつくした森が、海岸が、実は彼の街のすぐ近くにあったんだ、と気づいた時には、
ヒヤリと狂気さえ感じました。

映画の中では、ここからここまでがハンクの妄想ね!なんて明確な線引きがあるわけでもなく、
捉え方によっては、もちろん、死体と青年の純粋な友情物語、という捉え方もできるかと思います。
そういう奇想天外なストーリーだ、と割り切って観てしまえば、
おなかを抱えて笑える演出も盛りだくさんの、風変わりなアドベンチャーストーリーで、非常におもしろい。

でも、ハンクの孤独に気づいてしまうと、
たくさん笑った分、せつなさも倍増。

だから、メニーがあたかも多機能な死体のまま、海へ去っていくラストシーンは、
徹底的に現実を突きつけるのではなく、
どっちかわかんないよね、
って終わり方で、私は好きです。

 

ただのお下品な映画かと思わせつつ、切なさや悲しみを丁寧に切り取って胸に突き刺してくれる映画でした!
そして、ダニエル・ラドクリフの死体の演技が最高すぎる!
おうちで思う存分ゲラゲラ笑いながら、涙しながら、観ようかな。

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